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かえり道 夜 線路のとなりを歩いてかえる

途中
ねむった子をだいて歩く女の人をみた
すこし暖かい風は小さい頃のものと一緒だった
のびた草のにおいも一緒だった
その時
ぼくはどこを歩いているのかわからなくなった
わからないのがおもしろかった

わからないを目をとじてそのままにする
ぼくの耳 はな 手 足 声
アスファルトの道 草 家 線路
いろいろなものがあたりに散らばっている
散らばっていてみんな気ままだった

カタンカタンカタンカタン
後ろから音が近づいてくる
音が線路を跳んでいる
すこし強い風をうけて目をあけた
赤いふたつの光は曲線を描いて
あっという間に小さくなって
見えなくなった

ぼくはかえり道にいるぼくをみつけた
たたずむぼくは線路と道におわりがあることを知っている
小さい頃 それがこわかった
今 線路と道はどこまでも続いているように思えた
それはほっとするようでいて 
やはりこわいことだった

結局ここからでは
わからない
もういちど目をとじて
しばらく
ぼくはその場のあたりにいた