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君色の街 街は水浸しになっていた
たしかに
世界なんて終わればいいと
昨日 色のない声でつぶやいたのは ぼく
だからってこれを どうしたらいい
 
くらりと響く眩暈を部屋に置き
裸足のままで足首とかして 街底に立つ
表の通りは川になり 光の粒が濡れてこぼれる
はぐれた風のたわむれ 空と街の境がかすれてゆれる
これから どこにいこうか
 
水たまりの街 影を沈めて歩く
つくりかけのビル ぼくは名前をたてかける
あせた陸橋 顔をほどいてわたる 
静かな信号 ぽつりぽつりと垂れる記憶
やがて
歩き疲れて街に浮かぶ 
ぼくはぼくをにじませる
 
いつしか
夜を背にして陽はあふれ
街はひとつの色に染まってとける
なめらかに透けた陽にのみ込まれ
ああ とぬるい声が出た
のこるひとつのしずく
この街を 君に見せたいと思った
 
くらりと響く眩暈
振り払ってひらく世界
ぼくは一冊 本を開いていた